5月31日「アジア安全保障会議」にて、南シナ海のスプラトリー諸島での埋め立てを進める中国が、「軍事目的」であることを認めた。
米国は、中国とASEAN諸国の双方に「行動規範」を締結するように促しているが、中国が難色を示し、ASEAN内の足並みの乱れもあって締結の見通しは経っていない。ASEAN諸国には中国と経済的なつながりがある国もある。中国の孫氏は会期中に各国と会談し、中国の事情を説明して理解を求めていた。
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▼孫建国・副総参謀長(海軍上将)発言を紹介
「駐在する作業員の生活条件を改善し、軍事防衛上の必要性を充たすためだ」
「海上捜索や防災、気象観測、環境保護などで、一層、国際的な責任を果たすためでもある」
「(南シナ海の航行の自由が損なわれるという懸念に対して)影響をあたえることはない」
「自らの主観に基づく無責任な発言をするのは控えるべきだ」
「小国は挑発的な行為を取るべきでない」
「(防空識別圏の設定は)空域の安全が脅かされるかどうか、総合的に判断して決める」
「(南沙諸島に建設中の滑走路について)軍民共用になる」
「中国の政党な行為に対する批判は別の動機があるのではないか」
「(多くの質問には)すでに私のスピーチで答えを述べた」(以上、発言は朝日から)
分析:安保関連法案の審議への影響
中国に対して、日米豪が足並みを揃えて抗議している。4月27日に改定した日米ガイドラインではオーストラリアへの後方支援も念頭に置いた内容になっている。現在の日本国会内でも、安保関連法が審議され、南シナ海での後方支援の是非について議論が行われている。安倍晋三は「ヤジ問題」で一時的に追及されているが、今回の中国の振る舞いは、安保関連法を成立させる理由付けとして、安倍晋三を後押しする可能性がある。国会における「南シナ海」の登場頻度に注目だ。
5月27日には、米国が中国に対して「埋め立てを認めない」という強い姿勢に変わっている。
8月までに安保関連法を成立させるというオバマとの間の約束が、日程的にふさわしい展開となる可能性を帯びている。