日本は、日中韓のFTAを締結できていない。さらに米国主導のTPPに参加し、対中国のブロック経済をつくり上げる動きだ。
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日本経済新聞朝刊6面2015年6月25日 |
情勢分析
非常に小さなベタ記事扱いだが、重要だ。先日オーストラリアは中国との間のFTAを締結したばかり。中国市場への自由貿易を実現している。さらに今回AIIBに参加発表を行った。日本は、対中国外交として、AIIBへの参加を静観する立場を主張。一方でTPPへの参加交渉を行い、早くて7月末までにTPPを大筋合意に持って行きたいとしている。
同時に、南シナ海での中国の埋め立てに対しては、米国と歩調を同じくしている。
南シナ海の領土問題は、主に、中国、ベトナム、フィリピンの間で強く争われている。もちろん3国共に自説を曲げず、南シナ海の島を軍事拠点化しようとしている。これは大局的に見れば、東南アジア諸国の経済成長による軍事支出が増えていることが影響していると捉えておく。ただしベトナムは中国と地続きとなっており、民間の経済交流は避ける事が出来ない。
そんな中で、日本は、この南シナ海に関与しようとしている。先日フィリピンとの共同軍事演習が行われたばかりだ。同時に、日本は国会で集団的自衛権について議論している。後方支援をする相手国として、オーストラリアの名前も上がっている。日本はこの地域の経済に関与する動きとしてTPPの交渉を行っている状況だ。
細かなことだが、沖縄にある海兵隊はオーストラリアに移転する計画が持ち上がっていて、動いている。オーストラリアは中国に対抗するために、海兵隊を欲しがっているとされる。そして同時に今回、オーストラリアは、中国との経済的なつながりを強くする動きをしている。より中国との軍事的な対立を避けたいという方向性になる可能性がある。
オーストラリアは、リスクを感じながらも、FTAやAIIB参加によって、経済的なメリットを中国市場などから得ようとしている。結びつきが強まっている。
日本の安全保障を取り巻く状況は大きな変化の途上にあると見て、オーストラリアの動きなどをチェックしていく。