本来なら月曜にお送りするメールですが、一日遅れています。すみません。
今週のレポートを読めば、安保国会の重要性、会期延長の意味、9月の岩手県知事選への影響、来年の参院選への影響などが、わかります。
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▼日曜の放送の録画
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http://twitcasting.tv/zamamiyagarei/movie/179953103
この録画で話したことをもとに、2015年6月30日までの最新情勢を踏まえてレポートを書きます。
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▼内閣支持率の変動。
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読売は前月比「−5」の53%、朝日は「−6」の39%、ニコ生は「−2・3」の40・3%となります。個別の支持率の値だけを見て何かを言うことに意味はありません。過去からどういう動きをしてきたのか。つまりどのような変動があるのか。特に安保の審議がスタートしてからの動きが大事です。結論から言えば全く全ての報道機関の世論調査が、支持率低下を示しています。
日曜の放送が終わってからも日経とFNN(産経)の世論調査が報じられました。
日経 47(-3)
FNN(産経) 46・1(-7・6)
となっています。程度の差はありますが、下落傾向が強まっています。
さらに昨日は、福島民報が世論調査を発表しました。福島県民への調査です。
福島民報 28・4%
中央メディアの世論調査は全国にランダムで調査します。この値と福島県民の意識には差があることがハッキリわかります。ちなみに、朝日の沖縄県民への調査では22%でした。
これらの数字が高いか低いかについては判断にお任せします。重要なのは、個別の数字自体ではなく、どのように変動しているのかという動きです。動きを見ることが情勢分析には大事です。未来を予測するチカラをつけるためにも動きを見ておきましょう。
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▼安保国会は、参院選情勢に大きな影響を与える。
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安保国会自体が、参院選の情勢に大きな影響を与えるでしょう。現段階のボトルネック(最も阻害原因になる意味)であることは間違いありません。安保法案が万が一、臨時国会にまたぐことに慣れば、その分、内閣支持率の低下が続くことになります。だからこそ野党は国会をまたがせたいと考えますし、政権はこの国会で終わらせたいと考えるのです。維新が対案を出す動きになっていますが、このボトルネックに影響します。本日の読売は、維新の党の党内分裂を大きく政治面で報じています。維新の支持率低下圧力をかけて、維新の判断を早めたいとする動きの可能性があります。
今国会で安保法案が成立することになれば、政権は、秋の臨時国会から政権浮揚策を出し、年明けからは、3年連続の官製春闘(賃上げ)を主導するのではないかと私は推測しています。賃上げの結果が出るのは来年の6月あたり。その辺りに伊勢志摩サミットが行われます。9月末までに下がりきった内閣支持率を建てなおすことができると政権は考えているでしょう。
安保国会こそが参院選の情勢に大きな影響を与えます。先日の渋谷でのSEALsの安保反対デモに参加した山本太郎参議院議員が、来年の参院選に言及しているのは、当たり前すぎることです。衆院の強行採決までの残り1週間の重大性を理解することで、現在の様々な動きの意味を理解できるでしょう。
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▼現在の国会のパワーバランス。
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・衆議院
与党(自公) 325(68% 3分の2以上)
・参議院
与党(自公) 134(55% 過半数)
自民 114(47% 半数未満)
となっています。
来年の参議院選挙の結果、万が一、与党が過半数を取れない状況、つまりねじれ国会になれば、政治情勢に大きな影響が出ます。その後の憲法改正の発議において政権は苦労することになります。
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▼先日25日の自民党勉強会の影響
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自民党勉強会に参加した議員や講師の百田氏の発言は、尾を引くとみています。なぜか。この炎上は、内閣としては絶対にやってもらいたくないことに言及して見事に大失敗してしまったからなのです。
その理由を説明するために、今の安倍内閣の支持率の不安要因ベスト3をみてください。私が言い続けていることです。
(1)安保国会
(2)辺野古情勢
(3)財政健全化
さらに新しい火種を整理
4 戦後70年安倍談話
5 年金情報漏洩問題
6 勉強会問題
7 新国立競技場問題
8 TPP
9 ギリシャ問題(株価下落など)
10 百田尚樹の言動
特に上記の3つのこ要因は、すぐに終わるものではなく、少なくとも数ヶ月以上継続するものです。これらの3つの不安要因に対して、安倍内閣は、出来る限り刺激せずに支持率を下げないように工夫する必要があります。支持率の低下幅をできる限り小さくする必要があります。
安保国会においては、憲法審査会を休止にしたり、予算委員会での安保関連の質疑についても審議時間に組み込んだりして、出来る限り炎上の火種を少なくする国会運営をしてきました。
辺野古問題については、6月23日の慰霊の日の沖縄訪問において、翁長知事と立ち話のみで終わらせ、会談することを避けました。
財政健全化については省略します。
このように内閣が懸命に政権運営を努力してきたにもかかわらず、なんと自民党内の若手の勉強会から、これらの問題に積極的に油を注ぐ動きが出てきたわけです。しかも、想像する限り「かなり悪いやり方」で。
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▼想像する限り「かなり悪い」やりかたで炎上
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まず、百田紙の発言が、「レイプ」に関してウチナーンチュを蔑むかのような論調だったこと。おそらくこれが潜在的に最もウチナーンチュの心を刺激したのではないかと思います。
この発言が辺野古情勢とは直接リンクはしないと考える人もいるかもしれませんがそれは間違いです。米軍のレイプより地元の人のレイプ犯罪のほうが多いという論調は、1995年の沖縄米兵少女暴行事件について喚起させる可能性があるのです。この暴行事件以降、米軍基地を沖縄に変換しようという大きな動きにつながった歴史的経緯があります。この問題を喚起させウチナーンチュのアイデンティティーを激しく傷つけるような百田氏の発言は必ず尾を引きます。自民党若手議員への不信感なども高まることでしょう。
実際日経の世論調査では、内閣支持率の低下(−3)より自民党支持率の低下(−5)の方が大きいという結果になっています。沖縄地元の世論調査ではどのような結果になるでしょうか。
そもそも現在、翁長知事自体が辺野古の問題自体を基地問題にとどまらず、ウチナーンチュのアイデンティティーの問題としている状況です。アイデンティティーに対して火をつける動きにあれば当然辺野古情勢に大きく影響します。
さらに報道規制の問題(沖縄2紙つぶす発言など)は、メディア全体から批判を受けるでしょう。事実29日(月)からテレビの情報番組や報道でも、この報道規制について扱われ始めています。また沖縄2紙つぶす発言をさらに百田氏が繰り返していることは沖縄メディアに火をつけることでしょう。レイプ関連の発言と現地2紙つぶす発言は、相乗効果となります。
私は放送中に、これらの問題は、限定的、ではなく大きく内閣支持率に影響する可能性があると言及しました。しかも中長期的にです。
百田氏の発言ではありますが、自民党の勉強会の不祥事として深く県民の記憶に残ることでしょう。
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▼国会会期延長が、政府プランを「狂わせる」
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国会会期延長については報道は「最大の延長幅」などと言ってますが、それ自体は何も言ってないのと同じです。あらゆるメディアがこの国会会期延長問題について、重要な事を言っていません。
私が繰り返し主張したいのは、国会の会期延長を行うことによって、これまでそこまで問題ではなかったことが、重要な問題になる可能性があるということです。
まず、国会の会期延長の変化について見て下さい。
▼以前予測された延長幅
8月上旬まで
▼決定した延長幅
9月27日まで
およそ約2ヶ月未満の延長が行われたわけです。つまり、これまで国会の会期中に行われるはずではなかった政治スケジュールが「会期中」に行われることになります。
ここで7月、8月、9月の政治スケジュールを見ておきます。
▼6月
(安保国会)審議
(財政健全化)政府閣議決定
▼7月
(安保国会)衆院強行採決?
(辺野古)取り消し、撤回の判断→最新報道では8月へ
(辺野古)県議会、土砂搬入規制条例を成立
▼8月
(安保国会)参院委員会審議
(辺野古)沖縄防衛局と沖縄県の協議
(外交)戦後70年談話
(原発)川内原発再稼働
(選挙)埼玉県知事選挙
▼9月
(安保国会)参院採決 衆院強行採決?
(年金情報流出)基礎年金番号書き換え
(選挙)岩手県知事選挙
(自民党)総裁選
(外交)中央アジア訪問→10月?
もっと細かいものはありますが、私が「内閣支持率にネガティブな要因」と判断するスケジュールを並べてあります。
国会の会期延長によって、8月、9月の政治スケジュールが「国会会期中」となります。
▼8月
(安保国会)参院委員会審議
(辺野古)沖縄防衛局と沖縄県の協議?
(外交)戦後70年談話
(原発)川内原発再稼働
▼9月
(安保国会)参院採決 衆院強行採決?
(年金情報流出)基礎年金番号書き換え
(選挙)岩手県知事選挙
(自民党)総裁選
(外交)中央アジア訪問→10月?
これらの問題でもし炎上することになれば、国会の質疑に取り上げられる可能性があります。また平行してメディアが報じることによって、内閣支持率低下に影響を与える可能性があります。
少なくとも、安保法案の審議だけでも、約2ヶ月弱伸びたことで内閣支持率にネガティブな影響が出ます。その上、べつのネガティブなファクターがさらにネガティブに影響していくというわけです。
これが国会会期延長による政府の計算の「狂い」です。
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▼辺野古承認の撤回・取り消し判断が8月に
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これは昨日沖縄現地メディアで報じられたことです。なぜ8月になったのかは説明がありません。その上で分析するならば、国会の会期延長を踏まえた判断なのかどうか。辺野古基地建設反対を思う県民から見れば、早く「取り消し・撤回」を判断してもらいたいと思っているこの判断が、8月に先送りするということには重大な意味があるはずなのです。
このファクトと政治スケジュールと結びつけるならば、戦後70年談話のタイミングとの兼ね合いについて考えることは重要です。あるいは沖縄防衛局と沖縄県の協議との兼ね合いもです。沖縄県側はこの判断を、出来る限り日本の政治情勢を揺るがせるタイミングで発表したいと考えるでしょう。具体的に言えば、内閣が炎上しているタイミングで追い打ちを掛けるようなタイミングでです。好意的な解釈である可能性もありますが、私が沖縄県側であるならば、そのように考えます。これまでの翁長知事の動きは、中央政界の動きを見計らっているように私は分析しています。
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▼安保国会と岩手県知事選挙が平行することに
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岩手県知事選挙は、現職の達増拓也知事と参議院議員の平野達男の一騎打ちと報道されています。彼らは小沢自由党で同じ釜の飯を食った間柄であり、どちらも岩手県出身です。さらに平野達男が初めて自由党から立候補した際に、達増拓也は選対本部長まで務めています。この平野達男は自民党の二階俊博の協力を取り付けていると報じられています。この二階も自由党時代の一員です。
実は、この岩手県知事選挙で見過ごしてはいけない重要な事実があります。平野達男は参議院議員の資格を立候補と同時に自然消滅するという形にするとしています。つまり立候補まで参議院議員をやめないのです。
これは何を意味しているのか。
立候補を取りやめるという可能性を否定しきれない、ということになります。可能性の問題を念頭に置いておくのは重要です。
禍根選挙結果などを分析すれば、現職の達増拓也が優勢だと見る向きもあります。また共産党・民主党・生活の党が達増拓也を支持することが報じられています。生活の小沢一郎が、各野党政党を回って支援を要請しています。共産党が独自支援を表明してから、小沢は志位委員長と会談をしています。連合岩手と小沢も会談しています。
この動きは、平野達男が知事選に立候補した場合に行われる、10月末の岩手参院補選を見据えてのものです。情勢は少しずつ固まっていることでしょう。9月の知事選の情勢で、達増拓也優勢であるとなれば、その情勢が10月末の参院補選に影響する可能性があります。下手をすると自民は2連敗する可能性があるのです。これを百%回避する方法はたった1つ。平野達男が知事選に立候補しないことです。このシナリオの可能性は非常に薄いですが、ゼロではありません。絶対にこうなるというつもりもありませんが、1つのシナリオとして念頭に置いておくことが情勢分析として重要です。つねに可能性のある複数のシナリオを念頭に置きながら、それぞれに対する対応を考えることが大事です。将棋の「先を読む」ことに似ています。
国会の会期が延長し、9月6日投開票の岩手県知事選挙と重なったことは、岩手県知事選挙の情勢に大きな影響を与える可能性があります。平野陣営は、安保の議論と知事選には関係がないと主張しています。ただ会期が延長したことによってより影響する情勢になっていると私は見ます。メディアもより知事選に注目して報道し始めるでしょう。
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▼まとめ
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というわけで、国会会期延長による「政府の狂い」がどういうものなのか具体的に理解していただきました。もちろんメディアはここまでの分析報道はしません。ですが、これは当然ながら菅官房長官は全て頭に張っていることは間違いないでしょう。政治スケジュールが政治情勢、選挙情勢を決めていきます。国会の会期延長は野党から見れば想定内でしょう。その分支持率を下げられるわけですから。その上で延長に反対して国民の理解を得たいのです。
来週の日曜夜には、どこまで情勢に変化が出てるでしょうか。
7月5日(日)夜9時の選挙ジョッキーでまたお会いしましょう。
▼選挙ジョッキーは以下のURLでお楽しみいただけます。
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