だが、イギリスのフィナンシャル・タイムズの論調はまるで違う。
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日経2015年6月12日 |
『北京の行動が明らかに不法だとは言えないからだ。フィリピンもベトナムも埋め立てを実行している。法律形によると、中国の主張もいいかげんだとは言い切れない。これらの島はフィリピン、ベトナム、マレーシアに近いが、それが決定的な条件とは限らない』と書いている。
これは「地政学」的な視点ではない。
歴史学的、法的な視点からの冷静な情勢分析だろう。地政学的視点が加われば、地理的、軍事的に日本にとってのメリットが分析に組み込まれる。
南シナ海をめぐる「対中国脅威論」は、中国以外の南シナ海の周辺諸国による「対中脅威論」であって、それを日本政府が国内向けのプロパガンダに利用しているということになる。国会における集団的自衛権の議論に利用したいと考えている。
朝日2015年6月12日 |
南シナ海における島々の領有権は争われている状況であって、どの国が正しいと決まっているわけではないのだ。
南シナ海周辺諸国は、対中脅威論を国際的にメッセージして、軍事力を補いたい狙いがある。同時に経済的な支援も呼び込みたいと考えている。米国・日本・オーストラリアが「巻き込まれている」という状況とも取れる。これに日本は積極的に関与しようという流れだ。
歴史的に見て、東南アジアは、中国の冊封体制に組み込まれていた。その後、スペイン、フランス、アメリカがここに進出し、その後、太平洋戦争において日本が支配した。日本が敗戦後に領有権を放棄した後、混乱が生まれた。
▼南シナ海の領土問題 【分析・資料・文献】
南シナ海周辺国によって領有権が主張され、2国間の紛争に発展したりなど、今日に至る。各国とも島々を占拠し、軍事力を強化させている。
米国は、南シナ海の領有権をめぐる問題に積極的に関与していない。尖閣諸島をめぐる日中韓の領有権を巡る争いに関与していないことと同じ姿勢だ。米国から見れば、自由な航行を維持したいことによる主張しか出来ない。
もちろん中国は南シナ海を経由して、太平洋に出るルートを確保したい。中東までのシーレーンの確保も当然目的としている。海上油田の確保も目的だがそれが最優先とも言えないだろう。