2015年7月24日金曜日

【対ロシア外交】漁業・北方領土・ビザなし交流で、ロシアに追い詰められる安倍政権

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日本はロシアとの外交が切迫している。

北方領土問題は、日本が解決したい問題だが、ロシアは解決しなくても良いという姿勢で構わない。ロシアにとって有効なカードとなる。

日本政府にとっては、現在の国内情勢を考えると、外交を解決して、内閣支持率にポジティブに影響させたいと考える。国内で切迫している時に外交的な解決が進むことが多々あるのは、内閣支持率が影響しているのだ。
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日本の国内情勢を理解しているロシアは、だからこそ今北方領土問題に強く出てきている。メドベージェフ首相が北方領土を訪問すると表明し1800億円投資計画まで出しているのは日本を揺さぶるためだ。

読売朝刊2015年7月24日
同時に安倍内閣は、北方領土問題への国内世論を喚起させるための儀式を行っている。

首相 北方領土問題解決へリーダーどうしの決断必要

7月23日 19時09分

安倍総理大臣は、北方領土の元島民の孫やひ孫などにあたる中学生と面会し、北方領土問題の解決に向けて、ロシアのプーチン大統領との信頼関係を生かしながら、リーダーどうしが決断することが必要だという考えを示しました。

安倍総理大臣は、23日、総理大臣官邸で、北方領土の国後島や歯舞群島に住んでいた元島民の孫やひ孫などにあたる中学1年生から3年生までの7人と面会しました。

この中で、中学生たちが一人一人、「祖父の北方領土への思いを次の世代に語り継ぎたい」、「1日も早い北方領土の返還を願っている」などと北方領土への思いを話しました。

これを受けて、安倍総理大臣は、「残念ながら戦争が終わって70年たっても、日本とロシアの間に平和条約が締結されていない状況の中で、日本の領土である北方領土は日本に返ってくることができないでいる」と述べました。

そのうえで、安倍総理大臣は「私も今までプーチン大統領と10回、首脳会談を行い、この問題についても話をしてきた。会談を通じて2人の間に培った信頼関係を生かしながら、この問題を解決するためにリーダーどうしが決断しなければならない」と述べ、北方領土問題の解決に向けて引き続き取り組む考えを強調しました。
ちなみに、先日、ロシアに日本の漁船が拿捕されている。

拿捕船員の着替えも ビザなし訪問団、根室から国後島へ

07/24 07:00
 【根室】北方領土ビザなし交流の訪問団が23日、根室港から国後島に向けてチャーター船「えとぴりか」(1124トン)で出発した。広尾漁協所属のサケ・マス流し網漁船「第10邦晃丸」がロシア当局に拿捕(だほ)されたことを受け、乗組員の着替えなどの物資も積み込んだ。

 一行は北方領土返還運動の関係者や元島民ら計61人。国後島と色丹島を訪れ、ロシア正教会や日本人墓地などを視察し、27日に帰港する。

 邦晃丸の乗組員は、拿捕後に国後島古釜布(ユジノクリーリスク)に連行された。着替えのほか、薬が必要な乗組員もいるとみられるため、道7区の国会議員らが準備し、えとぴりかに同乗した外務省職員を通じて手渡される見込み。(水野薫)
さらに少し遡れば、上記のビザ無し交流がストップする事態が起きていた。
 4月16日に衆院第2議員会館で行われた鈴木宗男元衆院議員主催の「東京大地塾」での講演で、こんなやりとりがあった。

 佐藤氏「日露関係は悪化しつつある状況を、いかに現状でとどめるかが当面の課題となります。(鈴木)先生、このままいくと『ビザなし交流』が止まるかもしれませんね」

 鈴木氏「そうですね」

 佐藤氏「ロシア側がパスポートを持って査証(ビザ)を取ってこいと言い出す可能性は十分あります。プーチン大統領の年内来日は相当難しくなってきていますが、首相官邸なり外務省がそれをどこまで読めているかは非常に難しいところです」

 佐藤氏が懸念する通り、外務省は状況を読めていなかった。

 筆者が翌日、ある外務省幹部に「ロシア側が今後、ビザなし交流を止める可能性はあるとみているか」と直撃したところ、同幹部はこう笑い飛ばした。

 「それはない、ない。あるわけない。(ロシアが)それをやったら終わりだよ」

 外務省幹部の見立ては見事に外れ、ロシアに「終わり」のことをやらせてしまったのである。

 外務省にしろ首相官邸にしろ、対露外交は「機能不全」状態といえるのではないか。とにかくロシアになめられっぱなしで、満足に“反撃”できていないのである。
(http://www.sankei.com/premium/news/150526/prm1505260004-n2.html)
ただし、ロシア側の温情で、ビザ無し交流は復活出来た。
 日露両国は一端中止となった北方4島「ビザなし交流」の日本側訪問について、21日に再度協議を行い、最終的にビザなし交流は7月2日から、自由訪問は6月2日から行うことで合意にこぎ着けた。
(https://vpoint.jp/opnion/editorial/43975.html)
という具合に、対ロシア外交は、機能できていないのだ。

これは明らかに、日米関係を重視し、G7側に立ってロシアに制裁を続けていることが影響している。

さらに、日本は防衛白書を発表し、北東アジアの安定の阻害原因になろうとしている。

ロシアの専門家の分析はかなり、状況をクリアーに説明している。
「クリル諸島にロシアの軍人がいること、またそれが強化されていることは、クリル諸島をロシアの手元に置き続けることの外に南クリルに関する計画はロシア政府には存在しない、ということの証左である。もっとも、日本も米国も、かつてロシアが極東に有していた潜在力は復旧にはほど遠い状態であるということをよく分かっている。しかし、ロシアを恐怖で覆う試みが進行している。オバマ大統領はロシアをイスラム国と並ぶ世界の驚異に仕立て上げた。負けじと日本は、規模においては遥かに劣るものの、クリル諸島へのロシア兵の駐屯を脅威と規定した。ロシアがウクライナで行っているという「ハイブリッド・ウォー」への言及が防衛白書に見られることは、ロシアとの関係を発展させるなという、米国からの要求に対する、日本からのリアクションである。

(中略)私にとっては、防衛白書の当該箇所は、次のただひとつのことを物語るのみだ。すなわち、日本が肯定的に評価するところの露日関係上のこれらイベントは、純粋に一時的な性格のものであり、いわゆる北方領土返還という具体的課題を解決するためだけに必要なのであって、これら文言の中には真の協力関係への志向は存在しない、ということ。そしてそこには、相互安全保障や露日両国民の相互の発展と成長という観点からは、何ものも存在しない、ということだ」
(http://jp.sputniknews.com/politics/20150721/618002.html)
日本が戦後70周年の節目の年に進めている、ガイドライン改定、安保関連法案の改定という日米安保の枠組みの強化は、北東アジアのロシア、中国、韓国、台湾との関係を不安定なものにさせている。これらの国々の間には、北方領土、尖閣諸島、慰安婦・徴用工問題、など領土問題やそれに準ずる問題、歴史問題という「2国間問題」が横たわっている。

これらの2国間問題を解決しようとすると、北東アジアの国際的な共通課題「北朝鮮核問題」への足並みが乱れるという構造になっている。ロシアと中国は戦勝国でありかつ国連で拒否権を持つ国だ。北東アジアの情勢は日本に主導権がないことを知っておく必要がある。当然、中国とロシアは戦勝国として協力して日本に対応している。

よく、安保関連法の成立は自衛隊のリスクを高めない、的な単純かつ短絡的かつ外交ビジョンのない言論を目にするが、そういう発想こそがバランスにかけていて、かつド近眼だ。安保関連法案の改定は、国内法の改定だが、実体は外交の再定義だ。日本は北東アジア諸国との外交の再定義をしなければならず、それには時間と労力がかかる可能性がある。

こういったことに気づかなければ、戦後70年の「戦勝国」の視線に気づけない。内向きのまま、日本の国益しか考えずに叫んでいれば、これを利用されて国益を失う可能性すらもあるのだ。

安倍政権は、8月5日6日に開かれるASEAN地域フォーラムに岸田外務大臣が出席し、ロシアと外相会議を持つ可能性がある(中国とも外相会議を持つ可能性あり)。さらに8月末に岸田外務大臣が訪露する計画も持ち上がっている。

安保関連法案や新国立競技場問題で追い込まれている安倍内閣が、対ロシア外交で成果を出すとしたら、安倍政権の足元を見ているロシアに対してある程度妥協せざるを得ない可能性がある(あるいは何らかの外交取引が行われる可能性がある)。注意しておきたい。

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