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首相、最低賃金「大幅引き上げへ全力」
2015/7/23 21:55
安倍晋三首相は23日に開いた経済財政諮問会議で最低賃金について、「大幅な引き上げが可能となるように中小企業の環境整備やサービス産業の生産性向上に全力を挙げる」と話した。最低賃金の引き上げを実現し、景気の底上げを図る考えだ。
首相は「最低賃金引き上げに向けてしっかり対応していただきたい」とも述べ、関係閣僚に指示した。最低賃金は政府が企業に義務付ける最低限の時給だ。都道府県によって異なり、現在の全国平均は時給780円。
内閣府が23日の諮問会議で示した試算では最低賃金を10~20円引き上げ、300万~400万人の賃金が上昇した場合、総雇用者所得が400億~900億円増えるという。
最低賃金の引き上げに向けた議論は1日から厚生労働省の審議会で始まっている。物価や企業利益など目安となる経済指標は改善しており、14年度の引き上げ幅16円を上回るかが焦点となっている。労働側は平均20円超を視野に引き上げを求めているのに対して、経営者側は慎重だ。
(http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS23H4D_T20C15A7PP8000/)
情勢分析
官製春闘に引き続き、最低賃金上げにむけて安倍政権が動いている。内閣支持率にはポジティブに得供するだろう。ただし現段階での報道は、ベタ記事扱いがほとんどだ。なぜか先日の実質賃金がプラスに転じた報道もベタ扱いとなっている。 つまり、あまり現段階では最重要なファクターではないということだろう。また同時に、福祉費用抑制(削減ではなく抑制と言う表現)が報じられている。これは内閣支持率にネガティブに働くだろう。印象としては相殺される感じだ。どちらもまだ決定ではなく比較的小さなファクターとして報じられている。
7月に入ってからというもの、内閣支持率にポジティブなファクターはほとんど見つからない。最低賃金引き上げ報道が数少ないポジティブなファクターだ。実体経済を上向きに持っていくためには賃上げは重要な課題だ。ただし日本の企業の99%と言われる中小企業にとっては歓迎ムードではないだろう。
官製春闘による賃上げは、民主党の支持母体である連合内の内閣支持率を高めたと報じられている。実際にこれを示すリアルな声もいくつか届いている。来年の参院選にむけた1年で考えれば、最低賃金引き上げ策はジャブのように内閣支持率にとってポジティブに影響するだろう。だが、短期的にはそこまでポジティブに働くわけではない。
安保関連法の審議と新国立競技場問題のダブルパンチが、今最も内閣支持率にネガティブな影響を与えている。内閣支持率の下落傾向に対して安倍政権は有効な策を見いだせないでいる。