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情報資料:ロイター企業調査
2015年 08月 21日 07:34 JST
ロイター企業調査:安倍首相、安保法案よりデフレ脱却に注力を
[東京 21日 ロイター] - 8月ロイター企業調査によると、安倍晋三首相が目指す安保関連法案の今国会での成立について、6割強が反対していることがわかった。企業はむしろデフレ脱却・成長戦略を優先すべきとみている。
2017年4月に控える10%への消費税率引き上げについては、まだ経済環境が整っていないとの見方が8割を超え、軽減税率導入など新たな対策が必要とみている企業も8割となった。
この調査はロイター短観と同じ期間・対象企業で実施。資本金10億円以上の中堅・大企業400社を対象に8月3日─17日に行った。回答社数は270社程度。
<景気は拡大局面、10%への消費税上げの環境整わず>
景気の現状については74%の回答企業が「どちらかというと景気拡大局面」とみているものの、10%への消費税率引き上げへの経済環境は整っていないとする企業が82%に上る。
「個人消費の改善が確認できていない」(繊維)、「所得アップが必要」(情報通信業)といった理由だ。
このため、新たな経済対策が必要との回答が81%を占めている。昨年4月の8%への税率引き上げの影響を考慮して「消費意欲の拡大につながる経済政策が必要」(精密機械)、「食料や住宅など生活に直結する部分は低い税率を適用すべき」(卸売)など、消費者対応の政策を訴える声が多い。
(中略)
<政策は経済に注力を、安保は最優先ではない>
安倍首相が最優先で取り組むべき政策については「デフレ脱却・成長戦略」との回答が63%を占めた。次いで「財政再建」が33%。外交・安保は2%とわずかだった。
(中略)
今国会中に安倍首相が安保関連法案を成立させる方針であることには反対が62%を占めた。賛成は38%。反対の理由として目立つのは「国民の理解が不十分」(食品)である中で、「手続き、進め方が強引すぎる」(機械)といった指摘が多い。また「外交関係が困難になり、海外取引等の経済にも波及すると思われる」(運輸)など、ビジネスへの影響を懸念する声もある。
(後略)
(http://jp.reuters.com/article/2015/08/20/poll-abe-idJPKCN0QP2CG20150820)
情勢分析
経済と、安保関連法案の関係がよく理解できる「企業調査」だ。安保関連法案の成立が、経済にどのように影響をもたらすのか、整理しておく。
- 安保関連法案の今国会での成立
- 内閣支持率の低下→今後のアベノミクスの不安定化
- 外交関係の不安定化→海外市場の不安定化
という具合に企業群は感じているだろう。
内閣支持率低下に対する心理は2パターンある。
- 短期的 政権浮揚を目的とした経済政策への期待
- 中長期的 支持率低下によって政策成立の見通しが立たなくなることへの不安
例えば(2)については、内閣支持率が低下すると、来年の参院選でねじれ国会になる可能性があり、そうなると政権運営がこれまでのようには行かなくなり、内閣が経済をコントロールしづらくなる可能性があることを心配している、という感じだ。