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情報資料:東京新聞 日韓合同「戦後70年談話」世論調査
2015年8月20日 朝刊
70年談話、日韓評価割れる 首脳会談には期待も
本紙と、友好紙の韓国・ソウル新聞は戦後七十年、日韓国交正常化五十年にあたり、日韓の国民意識を比較するための合同世論調査を実施した。安倍晋三首相が十四日に発表した戦後七十年談話に対し、日本では評価する人が39%で、評価しない人を上回ったが、韓国では評価しない人が79%に上り、認識の差が鮮明になった。一方、首相と朴槿恵(パククネ)大統領の正式な首脳会談が必要と考える人は、日本で71%、韓国で54%で、対話への期待もうかがえた。
合同世論調査は二〇〇五年、一二年に次いで三回目。今回は今月十五日から三日間実施し、日韓とも二十歳以上の千人ずつ、計二千人から有効回答を得た。
七十年談話は「おわび」「侵略」などに言及した。日本では、評価する理由として「反省とおわびをした」「侵略と植民地支配に言及した」がともに六割以上だったのに対し、韓国は「反省とおわびが不十分」(80%)、「侵略と植民地支配への言及が不足」(40%)と受け止め、日韓で評価が分かれた。
一二年以降の日韓関係の緊張を受け、相手国に親しみを感じる人は三回の調査で最低となり、日本では31%(前回比19ポイント減)、韓国では13%(同10ポイント減)だった。
この数年間の関係についても、悪化したと考える人は前回より微減したものの日本で59%、韓国で71%だった。悪化の要因としては、日韓首脳の対立点を反映し、旧日本軍慰安婦などの歴史認識問題が両国とも最多となった。
ただ歴史問題について、韓国側の主張に理解を示す人が、日本側で前回と比べて微増した。韓国側でも、日本が一定の反省と謝罪をしていることを認める人がわずかだが増え、相互理解の兆しが見えた。
今後の日韓関係についても、これ以上の悪化を望まない人が多いことがうかがえた。関係が良くなると考える人は、日本で前回を3ポイント上回る41%に上り、悪くなると考える人は日本が8%、韓国が26%といずれも前回より減少した。
また、韓国を必要と答えた日本人は42%、不要との答えは18%。韓国では、日本を必要と考える人が前回より4ポイント増え、日本側の答えとほぼ同じ41%だった。
(http://www.chunichi.co.jp/article/front/list/CK2015082002000093.html)
情勢分析:韓国世論を和らげなかった戦後70年談話
東京新聞の、韓国紙との合同世論調査は、3年ぶりに行われている。この3年間で世論がどのように変化したのかを理解できる。昨日ヘリテージ財団のシンポジウムが日本で行われ、戦後70年談話の総括が行われ、「より和らげる談話に出来たはずだ」という評価が行われた。つまり、より韓国の対日感情を和らげる談話に出来たという米国の識者の評価といえる。これは日本の中道左派の評価とあまり変わらないだろう。興味深いことに米国の保守派と日本の中道左派の評価が似てきているわけだ。その背景を指し示す世論調査となっているといえる。
日本国内の偏狭なナショナリズムは、国際情勢の中で、「阻害する世論」として扱われる可能性がある。ただし、グローバルな視点で見ればこのようなナショナリズムは世界各国で勃興している。おそらく米国は、日本国内では左派へのケアよりナショナリズムへのケアを今後考えることになるだろう。
北東アジアにおいて、米国が懸念しているのは、北朝鮮の核問題と同時並行して、中国のちからが浸透していくことだ。実はここ最近強く叫ばれる日本のナショナリズムは、この2つの問題の解決を遠ざけるベクトルになっている。左派のほうが逆に北東アジアの国際協調に寄与する言論となっている。