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礒崎氏の辞任論浮上 公明幹事長「発言看過できず」
2015/8/1 1:36
日本経済新聞 電子版
安全保障関連法案に関し「法的安定性は関係ない」と発言した礒崎陽輔首相補佐官について、公明党内で31日、辞任論が浮上した。井上義久幹事長は記者会見で「看過できない。自ら判断するのが基本だ」と言及。別の公明党幹部も「辞めるべきだ」と明言した。野党の更迭要求に加え、与党の公明党からも辞任を求める声が上がり、安倍晋三首相は厳しい判断を迫られそうだ。
安保法案の「法的安定性」は公明党が最も重視していた点。憲法解釈の変更に伴い、自衛権発動に触れた1972年の政府見解を引用するなど従来見解との整合性を慎重に構築してきた経緯がある。公明党幹部は「丁寧に国民の理解を得ようとしている与党の努力が台無しだ」と礒崎氏の発言を厳しく批判した。
礒崎氏が所属する自民党細田派幹部は31日、「国会が前に進まないなら更迭を考えないといけない」と述べた。石破茂地方創生相も「今回の法案に責任を負う立場の礒崎氏がそうした発言をするのは良くない」と苦言を呈した。
一方、政府高官は31日夜、「(礒崎氏が国会で)きちんと説明したら済むだろう」と述べた。8月3日の参考人招致で真意を説明すれば理解は得られるとの考えを示したものだ。
自民党の谷垣禎一幹事長は記者会見で礒崎氏の発言について「舌足らずだった」とする一方、法的安定性を否定する意図はなく、辞任の必要はないとした。菅義偉官房長官も記者会見で辞任を否定した上で「補佐官がしっかり説明されると思う」と語った。
野党側は辞任圧力を強めている。民主党の岡田克也代表は記者会見で「そういう人を補佐官として近くに置いている安倍首相の任命責任は免れない」と徹底追及する考えを示した。高木義明国会対策委員長は衆院での招致を検討する意向を示した。維新の党の今井雅人政調会長も「礒崎氏に責任を取らせるのは当然だ」と同調した。
(http://www.nikkei.com/article/DGXLZO90024840R00C15A8PP8000/)
情勢分析
31日の出来事だ。公明党幹事長・井上義久氏、磯崎氏所属の細田派幹部などから更迭を求める声が出ている。政府要人からは説明したらすむと擁護の声が出ている。公明党が擁護していないことは、状況が変化している、と読み取っておく。
磯崎氏の所属の細田派からも「更迭」の声が出ていることについて、「派閥ごとの状況判断の違い」が顕在化していることを読み取っておく。
礒崎陽輔氏の「法的安定性は必要ない」発言は、憲法違反の議論を再び刺激する、今後の内閣支持率および選挙情勢に影響が出る可能性がある。