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情報資料:日本経済新聞2015年8月5日
日本の技術「過剰で高い」 国交省、ベトナム建設市場で調査
2015/8/5付
日本経済新聞 朝刊
国土交通省の国土交通政策研究所は、ベトナム市場での日本と韓国の建設業を比べる調査を行った。同市場で韓国勢の受注は日本勢を圧倒する。日本の技術力や品質は高く評価される一方、「過剰・不要」とみられている実態が分かった。
ベトナム政府機関に聞き取り調査した。同国では過去6年の実績で、日本勢の受注額が韓国勢の2%にとどまる。韓国の建設業に対しては「技術力・品質は必要十分な水準で、価格も合理的」と評価が高かった。
自国市場が小さく国をあげて海外展開への意欲が強い韓国勢は、小規模なプロジェクトを含め幅広い案件を獲得する特徴がある。一方、日本勢は日本政府の資金支援がある大型の政府開発援助(ODA)案件を重視し、小規模案件には消極的とみられている。同研究所は日本勢が各国の需要に見合うよう低コスト化を進めることを提案している。
(http://www.nikkei.com/article/DGKKASFS24H5W_U5A800C1PP8000/)
情勢分析:日本企業のインフラ産業競争力とAIIBについて
具体的な数字を目にするのは初めてだ。衝撃的に低い数字を見て理解が深まる。現在、中国主導のAIIB(アジアインフラ投資銀行)が年内発足に向けて準備が続いている。これはアジアのインフラ事業に投資する国際投資銀行だ。日本は加盟していない。
日本は、日米主導のADB(アジア開発銀行)があれば充分という立場だが、実はADBにおいて日本はかなり受注率が低いと報じられていた。
今回の日本経済新聞の報道によって、ベトナムの建設市場(つまりインフラ産業)の受注率の参考数字が出た。韓国の2%というのは衝撃的に低い。
日本はODA案件を重視しているとも報じられている。これは、日本がベトナムにADBによってお金を貸し付け(時には無償)、そのお金が日本企業に還流する構造だ。
日本企業のODA案件でなければ、価格競争力のない日本企業は受注することが難しいとも言えるし、あるいは、ODA案件のように信頼できる資金がなければ、リスクを怖がる日本企業は受注に向けて動かないということも言えるかもしれない。
新幹線や原発の輸出などが大々的に国内新聞で報じられているが、それくらいしか目玉がないとも言えるし、その新幹線に関しても国際的な競争力は中国勢に負けている可能性も指摘されている。
世界で最も大きな鉄道会社は中国国営企業だ。世界中の技術を輸入して(パクって?)、自国内の需要を満たすことで、シェア世界一、価格競争力を身につけた。今や世界の鉄道案件においても強い競争力を誇っている。
国際投資企業関係者からの独自ルートによると、アメリカ勢はAIIBに期待している。インフラ産業に手を出すのはリスクがあるからだ。米国は、中国主導のAIIBによって鉄道などの巨大インフラが整ったのちに、投資に乗り出すはらづもりだとも聞いている。