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原発工事会社から報酬 立地の道県議6人、役員や顧問に
大谷聡2015年7月20日05時23分
原発が立地する自治体の道県議計6人が、地元の原発工事を受注する会社の役員や顧問に就任し、報酬や株主配当を受けていたことが朝日新聞の調べでわかった。関係する6社の原発工事受注額は、東京電力福島第一原発事故後で少なくとも計10億7千万円。6議員は議会などで、原発の再稼働を促す考えを表明している。
親族が経営する会社の原発工事受注は、立地市町村の首長や議員でも発覚している。原発の安全性や妥当性を審議する立場の議員が、原発事業者側から利益を得る構図で、原発立地の各地に広がっていた。
朝日新聞は、原発が立地する全国13道県の全道県議を対象に、議員側が報酬を受けている企業について議長に報告する関連会社等報告書(2014年提出分)を調査。記載された会社について、各社が国や道県に提出した工事経歴書を調べた。議員は15年6月時点での現職に限り、同年4月の統一地方選などで落選・引退した議員は除いた。
その結果、元請けか下請けで原発工事を受注していた会社から報酬や配当を受けていた現職の道県議は6人=表。全員が自民党に所属し、県議会議長などの要職に就いていた。また6人全員が、道県議会で「原子力・エネルギー対策特別委員会」といったような原発の安全調査を担当する委員会に所属していた。6人のうち4人の会社は現在、議員の親族が経営している。
各議員は議会で「原発だけとらえて言うなら再稼働しかない」(三富佳一・新潟県議)、「当面は原発に頼らざるを得ない」(村田憲俊・北海道議)、「北陸電は地震・津波対策を積極的に取り組んでいる」(石田忠夫・石川県議)と発言している。
6人は取材に対し、早期再稼働を求める考えを明らかにしたうえで、議会審議と報酬受領との関係については「割り切ってやっている」「会社経営に関わっていないので関係はない」などと、影響を否定した。
地方自治法は、都道府県発注の工事を請け負う会社の役員に都道府県議が就任することを禁じている。だが原発工事は電力会社が発注するため、適用外だ。
6議員の関係6社の本社は、いずれも原発立地周辺にある。6社が受けた工事には、原発施設内での建物建設や機器のメンテナンスなど。免震重要棟や防潮堤の建設といった、原子力規制委員会の新規制基準に適合するためのものも含まれる。建設費の大半は電気料金で賄われている。
6社が受けた原発工事を発注した電力5社と日本原燃は取材に、「公正な手続きで実施した」などと恣意(しい)的な発注を否定した。
関連会社等報告書は議員自身が報酬を受ける企業を記す決まり。経営を妻子に譲り、自身の報酬は現在はないとするケースは、同報告書では発覚しない。
原発が再稼働するには規制委の審査後に、地元の同意が必要とされる。九州電力が8月中の再稼働を目指す川内原発の場合は、薩摩川内市議会と鹿児島県議会が再稼働を求める陳情を採択、市長と知事の同意表明がそれぞれ行われた。
これまでに川内、高浜(関西電力)、伊方(四国電力)の3原発が審査に「合格」。このほか今回の6社が工事を受注していた6原発を含む計13原発で、審査の申請が出されている。(大谷聡)
(http://digital.asahi.com/articles/ASH7M5H97H7MUUPI001.html)
情勢分析
朝日新聞が、トップで内閣支持率報道を報じ、その横の1面で、この記事を報じた。川内原発再稼働が8月初旬とみられる中で、世論を喚起させる狙いがあるとみる。ただし、今回の世論調査では、再稼働に関する設問はない。福島第一原発の事故以降の、原発立地自治体の「同県議」と原子力関連工事の関係を暴いている。多くは、親族企業の役員となり報酬を受け取っている。これは親族会社の利益供与だ。
現在、多くの世論調査では、6割弱が原発の再稼働に反対している。とはいえ、選挙においては脱原発候補が勝つことはなかなか難しい状況が続いている。例えば、NHKの以下の世論調査の結果を見ていただきたい。
一目瞭然だが、原発への対応の順位は、3番目。1割強といったところだ。これが選挙においては重要な世論となる。北海道知事選挙でも佐賀県知事選挙でも、原発関連で投票したのは1割前後とみられる。
ちなみに、安保関連は11%しか無い。現在中央国会で、安保関連法案の審議が行われており、世論は大きく動いているが、選挙においては、上記のNHK世論調査の結果を踏まえて考える必要がある。もちろん6月のNHK調査そのままの世論ということはない。世論は国民心理であり絶えず変化しうる。